MUSIC - Original Works and Opinions

作品試聴&解説(No.4)

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ここのサウンドデータは個人で楽しむ以外の目的では使用できません。

雨の日は (1986)

音楽にとって編曲(アレンジ)というのは一般に軽くみられがちですが、
実は音楽の内容に非常に大きな影響を与えるものです。

それでは、編曲とは具体的にはどういうことをすることなのでしょう?

例えば、ストリングスの音にセットしたシンセサイザーでピアノソナタを「そのまま」弾いたとしても、
それは音色を変えたというだけで編曲とは言いません。
また、ある歌のメロディーをフルートで吹いてみた・・・というのも同様に編曲とは言えません。

編曲とは、ある楽曲を
たとえばピアノソナタを弦楽四重奏用に・・・というように「楽器編成を変えること」や
クラシックの名曲をロック調に・・・というように「元の音楽のイメージを大きく変えること」
を言います。

「え?なぜ、ピアノソナタをストリングスの音色のシンセサイザーで弾いたのは編曲ではなくて、弦楽四重奏にすると編曲なの?」
という質問がありそうですね(笑)。

弦楽四重奏の各楽器(ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ)とピアノでは楽器の特性が全く違います。

具体的に言うと、
ピアノの音色は減衰音ですからどんなに長く鍵盤を押しっぱなしにしても、音はだんだんと小さくなり最後には消えてしまいます。
ところが弦楽器はそうではありません。弓を動かしている限りいつまでも音を鳴らしつづけることができますし、さらに鳴らしながら音の強弱に変化をつけることも可能です。

またピアノは和音を鳴らすのに向いていますが、弦楽器は最高でも同時に2音しか鳴らすことはできません。

このように特性のまったく違う楽器を同じ楽譜で演奏しようとしても、無理があったり、せっかくのその楽器らしさが失われることになります。
そもそもピアノソナタというのは、ピアノの特性を十分生かせるように作曲されているわけですから当然ですのことです。
逆に弦楽四重奏曲をピアノでそのまま弾いたとすれば、音の薄い非常につまらない音楽になってしまうことでしょう。

そのため、編曲するにあたっては「その楽器らしさ」を引き出せるように和音の音数を増減したり、1オクターブ上下させる、伴奏のフレーズを変えるなどの“大手術”が必要になってくるのです。

この“大手術”の仕方によっては原曲のイメージを残しつつ、より色鮮やかな感じにしたり、
さらには原曲のイメージを大きく覆すようなことも可能となります。
これが編曲の奥深さであり、面白さでもあります。

さて、この曲は私の同級生がメロディとコード(和音)を書いただけの楽譜を元に、私がシンセサイザー数台とコンピュータを使った編成に編曲したものです。
原曲のイメージを壊さず、しかし「私の勝手な感覚(笑)」で大きく色づけした編曲となっています。
(曲全体の半分くらいあるのでは?という長いエンディングとか)

まず、.midファイル形式にしてある原曲を聞いてみてください。
それからSoundVQ形式の方を聞いてください。(ファイルサイズが大きすぎるので2コーラス目以降のみです)
編曲(アレンジ)ということの具体例として実感できることと思います。

ame.mid File: 1,680bytes
Time: 1'20"15
Standard MIDI File (Format 1)
ame.vqf File: 453,782bytes
Time: 3'01"543
22kHz/20kbps/ch SoundVQ Encoded
22050Hz, 16-bit, Mono

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